Flashで学んだ経験はすべて、ロボット体験づくりに活きている

いやぁ、大晦日ですね。2016年も終わっちゃいますね・・・。

はい。遅くなりましたが、これは、FLASHer Advent Calendar 2016 の24日目の記事です。
それと同時に、Robot/ロボット Advent Calendar 2016 の23日目の記事でもあります。

Flashとロボット、両者の共通事項はあまりないように思われるかもしれませんが、この記事がその橋渡しとなればなと思い、書いてみました。

ロボット体験を創るという、今のお仕事

白熱議論しているPepperたち

僕は今、1→10Robotics (ワントゥーテンロボティクス) の代表をやっています。
ロボットの会社と思いきや、実はハードウェアを造っているわけではありません。創っているのは、人とロボットとの体験。僕たちはよく「ロボット体験」と呼んでいます。(ちなみに、僕の今の肩書は、ロボット エクスペリエンス ディレクターです)

知っていますか? 日本というのは世界からみたらロボットに対して特殊な環境なんですよ。みんな、小さい頃からアニメでロボットに慣れ親しんできましたよね。たとえば、鉄腕アトムにドラえもん。彼らのように、人と自然にコミュニケーションをとれるロボットは、まさに理想と言えます。僕は、ああいう体験を実現させたい。
でも、現実はどうかといえば、まだまだ到底およびません。そこを切り拓こうと、毎日試行錯誤を重ね、ロボット体験創りを行っています。

アイデア、技術力、エンジニア力、世界観、キャラクター、趣味嗜好、喋り方、ライティング、コピー、シナリオ、アート、グラフィック、音楽、効果音、などなど。
体験の向上には、全方位的に行うことが必要です。

たとえば、上の写真。
年末の大掃除のときに、会社の Pepper を動かして遊んでいただけなのですが、この白熱議論が実際に実現できたら素敵ですよね。ちょっとした遊び心や考えの柔軟さ、見た目のインパクトも大切です。

そして、こういうのって・・・、Flash のときとまったく同じだなぁと感じています。

あのとき僕らが創っていたのは Flash という名の「体験」だった

2005年〜2010年の頃の話。あの頃、Flash 制作に没頭していたのは、ウェブサイトに来てくれたユーザーに「来てよかった!」「おもしろかった!」と言ってほしかったから。その想いを胸に挑戦し続けた結果、失敗したことが多々あるなかで、ときに世界的な広告賞やグッドデザイン賞などで高く評価されたこともありました。
1→10 も会社の規模を拡大していきましたね。

いま思い返すと、自分たちが Flash で創っていたのは、「体験」だと考えています。

その当時は UX という言葉はまだ使われていない時代でしたが、ユーザーの満足感を高めるさまざまな考え・理論・手法・テクニックを、Flash 制作を通じて学んだのだと振り返っています。ちなみに余談ですが、 僕は UX という言葉が大嫌いで、SEO のようなうさんくささを感じてしまうからです(ごめんなさい)。なるべく「体験」という言葉を口にするようにしています。

Pepper と出会うきっかけは、Flash だった

僕が Pepper 開発に参加したのは、今から4年以上前の、2012年の年末。
以前に仕事をごいっしょした、電通のプロデューサーの方より電話を頂いて、「極秘のプロジェクトがあるから、打ち合わせに来てくれ」と言われ、ソフトバンクへ。ショッカーのような重たく頑丈な扉を開けると、もう1つ同じ頑丈な扉があり、その厳重なセキュリティの奥に日本語と英語とフランス語が入り乱れる開発室がありました。ご存知の方もいるかもしれませんが、当時のコードネームは「TARO」でした。

白戸CG郎

ソフトバンクの担当さんからの質問は、僕のチームが制作した白戸CG郎のことでした。 白戸CG郎は、白戸家のお父さん(白戸次郎)とウェブサイトでおしゃべりができるというもの。単におしゃべりだけだと、見た目が飽きるのでは?と、モーションや3Dのカメラを使って効果的に演出を入れました。もちろん、Flash で開発をしています。

この白戸CG郎を、試しに TARO に移植することから、Pepper開発に正式なアサインが決まることになります。それは同時に、最高にチャレンジングで無茶苦茶な仕事のはじまりでもありましたが・・・。

創ることの楽しさを提供してくれるSDK

いやぁ、TAROの開発は過酷でした。。幾度となく失敗を繰り返し、少しずつ前進していく。
ハードウェアやOSのアップデートで、自分たちがこれまで作ったものが台無しになることも何度もありましたね。それでも挫けず前にすすめたのは、楽しかったから、でしょうか。

Choregraphe

Pepper には Choregraphe (コレグラフ) という SDK があります。 ボックスを選んでつないで、再生ボタンをクリックすると、目の前のロボットが動き出す・・・! これが病的に楽しく、それゆえ、ラピッドプロトタイピングが進む進む。思いつきをすぐに試せることができますし、Flash 開発の経験があれば、この環境にすぐに馴染むことができるでしょう。

思えば、Flash もラピッドプロトタイピングとして有能でしたね。 画像でも音声でも映像でも、なんでもかんでもドラッグでステージに配置して、プログラムを書いて、Ctrl + Enter と叩き込めば、動きだす。この Ctrl + Enter によるプレビューは、悪魔的な中毒性がありましたね。

NAOqi API を読み解いて知る、設計思想の美しさ

さて、Pepper の技術的な話です。
Linux OS の上に、NAOqi OS という独自のOSが搭載されています。この NAOqi OS が、ハードウェアとソフトウェアとつなぐさまざまな API を提供するのですが、ドキュメントを読んでいくにつれ、ロボットに対する強いこだわりと思想が見えてきます。
NAOqi APIs 2.4.3.28 documentation  ※英語のみ

自律的なライフサイクルを司る ALAutonomousLife、インタラクションの基本となる ALBasicAwareness、ALEngagementZones、ALPeoplePerception。ユーザーとのやりとりを管理する ALUserSession に ALUserInfo。会話を定義する ALDialog などなど・・・。 ここで挙げたものは、ごくごく一部だけですが、本当に勉強になります。

一方で、Flash のときも API に思想が垣間見れました。 ActionScript 3 はパッケージがきれいにまとめられ、特に表示を司る DisplayObject に関する API が好きでした。
ActionScript 3.0 リファレンスガイド

いづれも、制作者・開発者が簡単につくれるよう、きちんと設計されているのが印象的です。使われているデザインパターンを見たりするのも、楽しくて勉強になります。

最後に。

こんな感じで、日頃感じていることをつらつらと書いてきましたが、もしも少しでもロボット体験開発に興味があると思った、そこのあなた! 朗報です。
はい。僕たち 1→10Robotics はともに切磋琢磨してくれる仲間を募集しています。

僕たちは、エクスペリエンスディレクター、ライター、コレオグラファー、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、CMSエンジニア、機械学習エンジニア、インタフェースデザイナーなどなどがチームを組んで、アジャイル開発をやっています。

Wantedlyにて絶賛募集中ですので、気になる方はご応募くださいませ!

あー、最後、なんか宣伝っぽくなってしまったな。ごめんなさいね。

(C) Copyright naggg, All rights reserved.